比例、反比例の利用

電子レンジの加熱時間は出力に反比例することを使った問題です。

数社の教科書にも載っています。

せっかく日常生活の場面を取り上げるのだから、リアルの方が面白いと考えました。

そこで、これを使いました。

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セブン○レブンの冷凍スパゲッティです。

これが良い点は

・ペペロンチーノはぴったり反比例していますが、カルボナーラはぴったりではない

・対応する値の組が3つ与えられている

です。

後述しますが、ぴったりとぴったりでないものを扱うことによって、関数であると「みなす」問題に取り組ませることができます。

他の商品では、対応する値の組が2つのものも多いのですが、これだと反比例だと確定する説得力に欠けると思います。

 

授業の流れは以下のようにしました。

<寸劇>

「昨日スパゲッティが食べたくなってこれを買って帰ったよ。」

次の画像を見せる。

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「家に帰って電子レンジで温めようとしたら…」

次の画像を見せる。

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(自分、既婚者なので…)

「電子レンジがこんな状態だったから、スパゲッティのラベルをもう1度見たら…」

ペペロンチーノの画像をもう1度見せます。

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「300Wのときの加熱時間が分からない!だからみんなに考えてもらいたくて…」

<寸劇終了>

このあと、出力をxW、加熱時間をy秒として、xとyの関係を捉えさせ、それを使って加熱時間を求めさせます。

生徒の実態に応じて、加熱時間を秒になおすところまで、一緒にやってもいいと思います。

反比例だといえる根拠が、変化(xが2倍、3倍…になると、…)では言い切れないので、対応(1組のxとyの積が一定)を使います。

それから、関係を式で表したり、表の600Wで4分10秒(250秒)のところを使ったりして、300Wのときの加熱時間を求めることができます。

 

そして、ここでは終わらずに

<寸劇>

「でも、1個では足りなくて、もう1個食べたいと思ったのよ」

次の画像を見せます。

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「これも300Wのときの加熱時間が書いてないから、求めてくれない?」

<寸劇終了>

ペペロンチーノと同じように、解かせます。

自分が授業をしたときは、深く考えずに600Wで4分50秒(290秒)を使って、加熱時間を求める生徒がほとんどでした。

でも、何か気づくことはない?と問いかけると、考える生徒が出てきました。

「あれ?これ、反比例になっていない」

ここからも、生徒の実態によって、考える必要がありました。

自分が授業をしている生徒たちは、この「関数とみなして」という考え方をこれまでしておらず、「これは反比例しない」に全体が流れていきそうだったので、「関数とみなすこと」について説明をしました。

理科の実験で、液体を熱したときの温度の上昇具合をグラフで表すと一直線に並ばない、でも一直線に並ぶと考えて直線をひく、という経験をしているかと思いますので、それと関連付けて説明しました。

反比例とみなすことで、加熱時間を求めさせ、授業を終了しました。

 

リアルを扱うことは、日常生活で数学を活用しようとする態度を育てるために価値があると思います。

ご意見等いただけると、勉強になります。

 

※一方で、「電子レンジを買い換えたら?」「コンビニで温めてもらったらいい」など、最後まで数学の課題に入って来れない生徒もいましたが。