正の数、負の数の加法(小6体験授業)

先日、校区内の小学校に体験授業をしに行きました。

前任校では、中学校に小学生が体験に来るというものでしたが、こういうものは多くの中学校でされているのでしょうか。

ただ、小学生向けに一から授業をつくるのは大変なので、中学校の授業でもやっているものを持っていきました。

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はい、トランプを使った正の数、負の数の加法です。

流れは以下のようにしました。

 

本時の課題は「足すと増える?」です。

質問の意味が分からないという人もいますよね。でも、大丈夫。今日使うのはこれです、といってトランプを見せます。

ルールの説明です。

①4人グループで、カードを配る。(カードは1~5の20枚+ジョーカー2枚)

②ババ抜きと同じように、相手に見えないようにカードを持ち、隣の人のカードを取り、次の人に取ってもらう。

③3周回ったらストップ。

④黒のカードを得点、赤のカードを減点、ジョーカーは0点として計算する。グループ内で協力して、全員が計算出来たら、記録をして、次のゲームを行う。

⑤5ゲーム行い、合計点が多い人が勝ち。

 

ゲームを開始します。

カードの枚数が5枚の人と6枚の人が出てくるので、不公平に思う子がいます。

大丈夫だからそのまま続けて、と流します。

1人5枚か6枚のカードを持つので、計算に苦労する子がでてきます。

ここはさじ加減なのですが、簡単すぎるとこのあとの「計算の工夫」が出てきにくくなると思われるので、少し難しめにしました。だいたいの子が2、3回すると慣れます。

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最初はこうやって分けて計算する子が多いです。

正の数と負の数に分けて、最後に合わせる方法です。

でも、なかには工夫する子がいたりします。

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0になる組み合わせを見つける方法です。

これは取り上げて、グループ内で共有させたりします。

あと、毎回全員の得点を合計すると0になることを利用して、計算が合っているかをチェックしながら各グループの様子を見ます。

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3ゲーム目、誰か間違っています(汗)

 

最後に、順位をつけるために5回分の得点を合計します。

ラスボス的な難しさになります。

これも協力することを促します。

 

最後の全体交流では、まず計算の工夫について共有します。

組み合わせを考えることは、算数の授業でもしているよね、と押さえます。

そして、課題に対するまとめです。

このゲームにおいて、「足すこと」とはカードを取ることです。

ゲームを振り返らせ、赤のカードを引いた時どんな気持ちになった?それはなぜ?と掘り下げていきます。

赤のカードを引くと、自分の点は減るのですよね。

カードは増えるのに、点数は減る。

「足すと減る」ですね。

最初に「カードの枚数が違うのは不公平」と言っている子がいましたが、枚数が多くても点数が多くなるとは限らないのですね。

赤のカード「マイナス」は中学校に入って学習します。また、一緒に勉強しましょう、とか言って、終えます。

 

この授業の事前検討会では、その頃に小6で学習している内容と絡めたものがいいかも、という意見が出ていました。

樹形図を使った確率や図形だったと思います。

このトランプゲームは、小6体験授業ではずっとやっている内容なので、そろそろ違う題材でもいいかなぁとか思ったりするのですが、同時に、やはりこの慌ただしい時期に、1回の授業のために準備をするのもなぁとも思ったりします。

何かいいネタがあれば教えてもらいたいです。

比例、反比例の利用

電子レンジの加熱時間は出力に反比例することを使った問題です。

数社の教科書にも載っています。

せっかく日常生活の場面を取り上げるのだから、リアルの方が面白いと考えました。

そこで、これを使いました。

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セブン○レブンの冷凍スパゲッティです。

これが良い点は

・ペペロンチーノはぴったり反比例していますが、カルボナーラはぴったりではない

・対応する値の組が3つ与えられている

です。

後述しますが、ぴったりとぴったりでないものを扱うことによって、関数であると「みなす」問題に取り組ませることができます。

他の商品では、対応する値の組が2つのものも多いのですが、これだと反比例だと確定する説得力に欠けると思います。

 

授業の流れは以下のようにしました。

<寸劇>

「昨日スパゲッティが食べたくなってこれを買って帰ったよ。」

次の画像を見せる。

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「家に帰って電子レンジで温めようとしたら…」

次の画像を見せる。

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(自分、既婚者なので…)

「電子レンジがこんな状態だったから、スパゲッティのラベルをもう1度見たら…」

ペペロンチーノの画像をもう1度見せます。

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「300Wのときの加熱時間が分からない!だからみんなに考えてもらいたくて…」

<寸劇終了>

このあと、出力をxW、加熱時間をy秒として、xとyの関係を捉えさせ、それを使って加熱時間を求めさせます。

生徒の実態に応じて、加熱時間を秒になおすところまで、一緒にやってもいいと思います。

反比例だといえる根拠が、変化(xが2倍、3倍…になると、…)では言い切れないので、対応(1組のxとyの積が一定)を使います。

それから、関係を式で表したり、表の600Wで4分10秒(250秒)のところを使ったりして、300Wのときの加熱時間を求めることができます。

 

そして、ここでは終わらずに

<寸劇>

「でも、1個では足りなくて、もう1個食べたいと思ったのよ」

次の画像を見せます。

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「これも300Wのときの加熱時間が書いてないから、求めてくれない?」

<寸劇終了>

ペペロンチーノと同じように、解かせます。

自分が授業をしたときは、深く考えずに600Wで4分50秒(290秒)を使って、加熱時間を求める生徒がほとんどでした。

でも、何か気づくことはない?と問いかけると、考える生徒が出てきました。

「あれ?これ、反比例になっていない」

ここからも、生徒の実態によって、考える必要がありました。

自分が授業をしている生徒たちは、この「関数とみなして」という考え方をこれまでしておらず、「これは反比例しない」に全体が流れていきそうだったので、「関数とみなすこと」について説明をしました。

理科の実験で、液体を熱したときの温度の上昇具合をグラフで表すと一直線に並ばない、でも一直線に並ぶと考えて直線をひく、という経験をしているかと思いますので、それと関連付けて説明しました。

反比例とみなすことで、加熱時間を求めさせ、授業を終了しました。

 

リアルを扱うことは、日常生活で数学を活用しようとする態度を育てるために価値があると思います。

ご意見等いただけると、勉強になります。

 

※一方で、「電子レンジを買い換えたら?」「コンビニで温めてもらったらいい」など、最後まで数学の課題に入って来れない生徒もいましたが。

指導と評価の一体化

学習評価におけるキーワードの一つですね。

 

評価は、成績をつけるためだけに行うのではなく、

 

教師が自分の指導を見直すため

生徒が学びを実感し、次の学習に向かうため

 

に行うものです。

そして、指導と評価の一体化を図るとは、

 

「学習した(教えた)」「はい、終わり」「はい、次」

 

としないようにすることだと思います。

 

例えば、方程式の解き方を学習して、小テストとかしますよね。

そして、それを教師が採点して、成績のために記録して、返却して・・・。

返却するころには次の内容や単元に進んでいて、みたいな流れではないですか?

(恥ずかしながら、私はそうでした)

でも、そうではなくて、

返却したら、もう1回解き直す時間をとったり、解き方をまとめたり、教師の手ごたえよりできていなければ、解き方を再度指導するなどしよう、ということだと思います。

でも、これをしようと思うと、授業を1時間ずつ考えていてはできない、ということです。

だから、単元計画を立てる段階で、評価の場面を設定していく必要が出てくるのですね。

 

上の方程式の例では、2時間の授業で

1時間目

方程式の解き方を指導する→小テストを行う→回収して、採点(評価)

2時間目

小テストを返却→解き直し→解き方をまとめる

のような流れが考えられると思います。

この評価を間に挟むことで、解き方をまとめる学習がより生徒主体で行えるようになると考えられます。

 

※個人的な考えです。ご意見等いただけると、勉強になります。

はじめまして

はじめまして、マス田です。

公立中学校で数学科の教員をしています。

30代後半、経験10数年のいわゆる中堅教員です。

 

私は数学の授業づくりが好きです。

授業をするよりも、どんな授業をするかと考えることが好きかもしれません。

大学教授や研究員の方が向いているのかもしれません。

でも、今の仕事を辞めて、というのは、背負っているものもたくさんあるので、今はできません。

 

日本のほとんどの先生は、とても忙しいです。

「子どもたちに力をつけたい」「楽しい授業がしたい」

そう思っていても、なかなか授業の準備をする時間がない、というのが現実だと思います。

私もそうです。

数学の授業づくりが好きな私にとって、ほとんど準備ができず、教科書の問題を生徒にやらせるだけの授業をしているときほど、教師という仕事にやりがいを感じないことはありません。

 

このブログを始めようと考えた理由は次の2つです。

1つ目は、自分の学びや経験をアウトプットして、深めることです。日々実践したことや、本や研修会などから学んだことを文章にして、自分の成長につなげたいと思いました。

2つ目は、教材研究をする時間のない数学教員仲間に、自分が学んだことをシェアすることです。すぐに使えるような、具体的な実践も書こうと思います。

 

このブログを通して、自分の学びを深めたり、いろんな人とつながったりしたいです。

よろしくお願いします。